
1. 自分の表現したいことは表現できるけど、どうもしっくりこない
2. 文法的に正しい文章は書けるが、ネイティブの書く文章とはほど遠い
3. 自分の文章がぎこちないのは分かっているが、改善方法がわからない

このブログを運営しています稲垣達也(@T_Inagaki_GC)と言います。
僕はこの記事で紹介する方法ライティングを練習した結果、独学でTOEFLのライティングで28点を獲得することができました。
本記事を最後まで読んで頂くことで、これらの疑問を解消します。
この記事では、国内では英語の上級者と言われるTOEIC900点代後半、英検一級レベルの英語力をお持ちの方に向けて、ライティング力を洗練させるための勉強方法を解説します。
偉そうなことを言っている僕も、もちろん一人の英語学習者であり、今回紹介する方法をすべて完璧に使いこなせるわけではありません。
それでも学びになる部分は少なからずあると思うので、この記事が国内で英語力を高めている方の参考になれば幸いです。
英語上級者がライティングで抱える課題
まずは、国内で英語を勉強してきた人たちの中でも、いわゆる上級者と呼ばれる人がライティングで抱えているであろう課題を説明します。
これらの課題は実際に僕が抱えていた、もしくは今でも抱えているものであるため、共感していただける部分があると思います。
①文書が無駄に長くなってしまう
これはまさに僕が英検一級のライティングの勉強している時に抱えていた課題です。
当時の僕は、文法の知識はしっかり定着しており、TOEICで頻出する程度レベルの単語はすべて暗記していたため、英語で伝えたいことを表現することに、大きな問題はありませんでした。
しかし、自分が書いた文章を後から見返してみると、文章が無駄に長くなってしまい、表現の切れ味が悪い、いわゆる英語らしくない文章なっていました。
おそらく、「英語での意思疎通に不自由しない」というレベルの英語学習者においても、ほとんど人がこの課題を抱えていると思います、
②適切な表現の選択ができない
こちらも多くの英語上級者の方が感じていることだと思います。
先程も説明したとおり、英語学習において一定のインプットがあると、何かを表現する時に大きな問題は感じなくなるようになります。
しかし、独学で英語学習をしてきた方が、自分が書いた文章を見返してみると、「自分の使っている表現がどうもしっくりこない」、「ネイティブならもっと別の単語、表現を使いそうだ」と感じることがあると思います。
今回の記事では、独学でこれら2つの課題を解決する方法を紹介します。
英語らしい文章を書くための勉強法
それでは、英語らしい文章を書くための具体的な勉強方法を紹介します。
結論から言うと、英語らしい文章書くためには、以下の手順で学習をします。
英語らしい文章書くためのルールを学ぶ
STEP 2
(STEP 1で学んだルールに従って)文章を書く
STEP 3
(STEP 1で学んだルールに従って)自分で校正する、必要であれば外部のサービスを使用
めちゃくちゃシンプルですが、僕はこの方法でライティングを勉強しました。
それぞれの手順を順番に解説します。
【STEP 1】英語らしい文章を書くためのルールを学ぶ
3つのステップの中でも、最も重要かつ最も時間をかけてほしい部分がこのステップです。
なぜなら、日本で英語学習をしてきた方にとって、「英語らしい文章とはなにか?」ということを学習する機会は、ほぼないと思うからです。
実際に、日本で売られているライティング関連の本、ライティングの勉強法に関するブログの記事でも、ほとんどが「どのようにして英語で文章を書けるようにするか」ということが焦点になっています。
したがって、今回の学習法のSTEP 1では、「英語らしい文章とはなにか?」について体系的にまとめられている本を利用して、英語らしい文章を書くためのルールを学びます。
このSTEP 1の学習で使えるおすすめの参考書は、記事の後半で紹介します。
【STEP 2】自由英作文を行う
STEP 1で英語らしい文章を書くためのルールを学んだら、実際にそれらのルールに従って文章を書くのが2つ目のステップになります。
この「文章」というのは、瞬間英作文程度の短いものではなく「自由英作文」レベルでの長文を書くほうが、実際に自分が表現したいことを書く練習になるのでおすすめです。
この自由英作文をやってみると分かると思いますが、STEP 1で学習したことを最初からすべてできるわけではないので、学んだルールの中でも意識する部分を絞って文章を書いてみることをおすすめします。
例えば、「受動態を使いそうになったら、無生物主語の文章に置き換える」というルールを決めて、自由英作文を一題解いてみる、というイメージです。
こうすることで、受動態を使いそうになった時に「これって無生物主語でどうやって表せるんだろう」と考える癖がつくため、練習を重ねるにつれて、英語らしい文章を書くための思考を意識的に身につけることができます。
この練習を重ねることで、自分が英語らしくない文章を書こうとする瞬間に気づくことができるようになります。最終的に、英語らしい文章を最初から選択できるようになると思います。(僕もまだ学習している身なので、確定的なことは言えません)
【STEP 3】校正する
最後に、自分が書いた文章を自分で校正します。
よく英語らしい文章を書くためには「自分が書いた文章は、ネイティブに校正してもらいましょう」という主張を見かけますが、日常的にそのような機会に恵まれている方は極めて少ないと思います。
また仮に、ネイティブに校正してもらっても、「なぜ校正後の文書が元の文章よりも良いのか?」という本質を理解しなければ、また同じミスを繰り返してしまう可能性が高いと思います。
一方で、今回の学習方法では「英語らしい文章を書くためのルール」を体系的に学習しているため、ある程度のレベルの校正であれば、自分で完結できます。
もちろん適切な表現を見つけることに関しては、ネイティブに敵うわけではありません。しかし、文章構造、文体においては、日本人英語学習者においても、ルールさえ学んでおけば、「自分で書いた文章の何が良くないのか」をはっきり理解することができます。
具体的な校正の方法は、以下で紹介する「英語らしい文章を書くためのルール」を参考に、自分の文章がそのルールに従っているか?、という観点からチェックしてください。
適切な表現の選択については、以下で紹介する方法、もしくはおすすめの参考書を利用して地道に調べることが必要です。もしくは、オンライン英会話を受講している方は、先生に別の表現方法がないか聞いてみるという方法も良いと思います。
英語らしい文章を書くための5つのルール
次に、英語らしい文章を書くためのルールを紹介します。
これらのルールはすべて、この後紹介する「オススメ教材」の内容を参考に書いています。詳しい内容が知りたい方は、そちらを参照していただければと思います。
①文章の要点を前半に配置する
英語の文章は、要点が分かりやすく簡潔な文章が好まれます。
そのような文章を作るためのコツとして、「文章の要点を前半に配置する」という方法があります。
文章の要点となる「主語」と「動詞」が、できるだけ文章の前半にくるように配置することで、結論が先にわかる明快な文章を作ることができます。
例
例えば、以下の日本語を英語にする場合を考えてみましょう。
しかし、この文章の主語になる「(1週間に2日以上運動する)成人男性の割合」と動詞の「約30%であった」が文章の後半に配置されているため、文章の要点となる情報が最後まで読まないとわからない構造になっています。
ここで、「文章の要点を前半に配置する」というルールを適用します。
具体的には、文章の主語と動詞をできるだけ前半に配置するようにします。すると、次のような文章を作ることができます。
こうすることで、文章の要点となる「主語」と「動詞」が文章の前半部分に来るため、結論が先に提示され、より明快な文になりました。
②短く簡潔にする
英語では、短く簡潔な文章が好まれます。
これはすなわち、同じ意味を伝える文章が2つある場合、「より少ない語数で表現できる文章の方が良い」ということになります。
例
先程の文章を例にとって説明します。先程の「文章の要点を前半に配置する」という処理を行った後の文章がこちらです。
(政府の調査によると、1週間に2日以上運動する成人男性の割合は約30%であった。)
こちらの文章の主語は「(1週間に2日以上運動する)成人男性の割合」となっています。
この文章の主語を「約30%の成人男性」に変えて、文章を作り直してみます。また成人男性という表現も「adults males」からより語数の少ない「men」に変えます。
(政府の調査によると、1週間に2日以上運動する成人男性の割合は約30%であった。)
このように主語を変えると、全体の語数が「21単語」から「16単語」に減らすことができました。
先ほど説明したように、 「より少ない語数で表現できる文章の方が良い」ため、こちらの文章は、より英語らしい文章に近づいたと言えます。
③能動態を使う
英語では特定の場合を除き、「能動態」を使用することが好まれます。
理由は、「能動態」の文章は、文章の要点(主語と動詞)が前半にあり、かつ受動態の文章より語数が少なく簡潔で読みやすいからです。
こちらも具体例を使って解説します。
例
次の日本語を英訳してみましょう。
そこで、この文章を能動態にして書き直します。具体的には、文章の主語を「私」から「(私の)親」に変え、文章の要点をできるだけ前半に配置します。
すると、次のような文章になります。
このように「能動態」に書き換えることで、文章の要点(主語と動詞)が前半に配置され、かつ語数も「18単語」から「16単語」に削減することができました。
したがって、文章の主語の選び方を工夫し、意識的に能動態の文章を選ぶことで、より英語らしい文章を書くことができます。
④反意語を使う
「反意語」とは、ある単語に否定の接頭辞がつき、反対の意味を表す単語のことです。
例えば、polite(礼儀正しい)の反意語は、impolite(非礼な)になります。
婉曲的な否定表現を好む日本語とは反対に、英語は反意語を使って短く簡潔に言い切る表現が好まれます。
理由は、これまで説明してきたとおり、そのような文章表現のほうが短く簡潔で読みやすいからです。また、反意語を使用することで文章を引き締める効果もあります。
こちらも具体例を使って説明します。
例
以下の日本語を英訳してみましょう。
この文章をさらに英語らしくするために、反意語を使ってみましょう。具体的には「not relevant」の部分を反意後の「irrelevant」に置き換えて表現します。
このように反意語用いて簡潔に表現することで、文章が簡潔に短くなり、より引き締まった印象を読み手に与えます。
したがって、こちらの例のように反意語を使うことで、より英語らしい文章にすることができます。
ときには読み手の心情に配慮して、あえて婉曲的な表現を使うことが必要であると思います。
⑤意味の濃い動詞を使う
英語では、一語でより深い意味を伝達する動詞を使用することが好まれます。
このような動詞を使うことで、文章が短く簡潔になることに加え、文章に躍動感が加わり、読者により鮮明なイメージを与えることができます。
例
次の日本語を英訳してみましょう。
この表現でも何の問題もなく伝わります。
一方で、意味の濃い動詞を使った場合、次のような文章になります。
この「strengthen」という動詞は、一語で「~をより一層強化する」という意味を含んでいます。
そのため、先程の文章よりも短く簡潔になり、かつ文章のメッセージである「リーダーシップを強化する」というイメージがより鮮明に伝わるようになります。
英語らしい文章を学習するためのオススメの参考書4選
最後に、英語らしい文章を学習するためのオススメの参考書を4冊紹介します。
今回紹介する本はすべて実際に僕が使用したものです。どれも心の底からおすすめのできる素晴らしい教材であることは保証します。
究極の英語ライティング
こちらの本は、まさにこの記事の主題である「英語らしい文章」を書くことに特化した参考書です。
著者の遠田さんはプロの日英翻訳者であり、英語ネイティブにとって「なぜ特定の文章が自然に感じるのか?」という観点から丁寧に解説されているため、内容も非常にわかりやすいです。
全7章の内容を何周も読み、掲載されている練習問題を解くことで、「自分の文章の何がだめで、どうすればもっと英語らしい文章がかけるのか」を学習できます。
僕はAmazonで売られている他の上級者向けのライティング本も購入しましたが、こちらの本がダントツで参考になりました。今回紹介する本でどれを買ったら良いかわからないという方は、こちらの本をまず使ってみることをおすすめします。
英語らしい英文を書くためのスタイルブック
こちらの本もタイトルの通り「英語らしい英文」を書くことを目的とした参考書です。
先ほど紹介した遠田さんの本よりも、それぞれの解説は少ないですが、1つ1つのトピックに、練習問題が3題ずつ用意されています。
そのため、先ほど紹介した遠田さんの本を使って「英語らしい文章」の書き方を学習し、その学習内容の定着用にこちらの本を使うことができます。(僕はそのように使いました)
例解 和文英訳教本 (文法矯正編) –英文表現力を豊かにする
こちらの本は、和文英訳問題を通して「基礎的な文法の理解」と「自然な英語表現の習得」を目的に書かれています。
これまでに紹介した本は主に、英語の文章を書くことに苦労は感じない上級者向けの内容でしたが、こちらの本は初心者の方から文法の基礎をもう一度根本から見直したい上級者の方まで、幅広くおすすめできます。
文法の説明は学校で使うような参考書とは違い「似たような表現の微妙なニュアンスの違い」、「それぞれの文法表現の本質的な意味と正しい使い方」がとても丁寧に解説されているため、上級者の方まで非常に勉強になる内容だと思います。
実際、僕はこの本を読んで、自分の文法に対する理解の甘さを痛感しました。
ドクター・ヴァンスのビジネス・プロフェッショナルが使うパワー英単語100
僕はよくTEDトークを聞きますが、ネイティブの方のスピーチを聞いていている「この単語の使い方かっこいいなぁ」と思うことがあります。
もしこの感覚が分かってくれる方いましたら、こちらの本はとてもおすすめできます。
こちらの本は「いつも何気なく使っている単語」を「ビジネスプロフェッショナルの響きがある単語」に置き換え、より英語の切れ味を高めることを目的に書かれています。
内容は本のタイトルの通り「ビジネスプロフェッショナルが使う100の単語」を解説しています。そしてそれぞれの単語を使うことで、どんなイメージ、ニュアンスを相手に伝えることができるのかが分かります。
例えば、よく使う単語の一つである”find”の代わりに”track down“を使うことで、どんなニュアンスを相手に伝えることができるのか、ということが深く理解できます。読むだけでも十分面白いので興味のある方は一度手にとって見ることをおすすめします。
まとめ
今回は「英語らしい文章」を書くためのライティングの勉強法を紹介しました。
結論、今回おすすめした教材を使って「英語らしい文章を書くためのルール」を学び、実際に文章を書いて定着させましょう、という感じです。
「自分の文章がどうも英語らしく感じない」、「もっと英語らしい文章を書きたい」、という悩みを抱えている方に今回の記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Twitter(@T_Inagaki_GC)でも「英語学習に役立つ情報」を発信していますので、一度見に来ていただけると幸いです。
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